一点突破のためのスルー力
昔に比べて丸くなったと言われる。
太ったわけではない。性格のほう。
そらそう。人は変わる。
丸くなるとは、どういうことか。
人からみたら、大人しくなったもしれない。
しかし、諦めることが増えるのとは違う。
日々の生活の中で、
いちいち引っかからずにスムースに出来ることが増えたイメージだ。
かつて童貞の亀頭のように繊細な神経は、
すれ違うものすべてに反応して勃起し、時には怒りをまき散らして歩き、
世界を勝手に敵ばかりにしていた。
仮想敵を作り出して、戦うことにすべてのエネルギーを注ぐ。
有り余るエネルギーで朝までナンパして手に入ったものは、
朝起きたときのブスの寝顔と虚無感。
そんなふうにしてエネルギーを放出しても、手元に何も残らない。
しかし、時と経験とともに、
そういう無駄なエネルギーを意味あるものに集中して注げるようになった気がする。
精神的なものを含めてリターンの期待値の高いものだけを選んで、
あとはスルー。
自分でやらなくとも、目的が達成されればそれでよい。
沸き起こる自我もスルー。
一点集中で爪を鋭く研ぐことにエネルギーを集中、
後は丸くして省エネ。
このスルー力の向上が人を丸くするのかもしれない。
もっと鋭く尖るために丸くなるのだ。